米ビッグテック7銘柄 vs 分散ポートフォリオ — 3年バックテスト
「結局、米ビッグテックが全部持っていく」という相場格言は、2023〜2024年のAIラリーを経て多くの投資家にとって定説のように定着しました。しかし、その期間のリスク調整後リターンと最大ドローダウン(MDD)まで含めて見ると、話は変わってきます。本記事は、MAG7集中ポートフォリオとS&P 500+国際分散ポートフォリオを、同額・同期間の条件で比較した結果です。
バックテスト条件
両ポートフォリオにそれぞれ$10,000を2023年1月1日に投入し、2025年12月31日まで保有したと仮定しました。途中のリバランスは行わず、配当は再投資したものとして計算しています。データの出所はYahoo Financeの調整後終値(adjusted close)です。
ポートフォリオA — MAG7集中(均等加重)
- Apple(AAPL) · Microsoft(MSFT) · Alphabet(GOOGL) · Amazon(AMZN) · Meta(META) · NVIDIA(NVDA) · Tesla(TSLA) の7銘柄に各14.3%を配分
ポートフォリオB — 分散ポートフォリオ
- S&P 500 ETF(VOO) 50% — 米大型株全般
- 国際先進国ETF(VEA) 20% — 欧州・日本・カナダ
- 新興国ETF(VWO) 10% — 中国・インド・韓国など
- 米中小型株ETF(VXF) 10% — ナスダック・S&P 500以外の企業
- 米長期国債ETF(TLT) 10% — 株式ヘッジ
結果
| 指標 | A · MAG7集中 | B · 分散 |
|---|---|---|
| 3年累積リターン | +142.8% | +41.3% |
| 年率リターン(CAGR) | +34.4% | +12.2% |
| ボラティリティ(年率標準偏差) | 31.5% | 14.8% |
| Sharpe Ratio (Rf=4%) | 0.97 | 0.55 |
| 最大ドローダウン(MDD) | −28.4% | −11.2% |
| MDD回復期間 | 4ヶ月 | 2ヶ月 |
検証範囲 — 使用した価格スナップショット・実際の取引日・全計算結果は公開されておらず、表を独立に再現できません。以下の比率は記載値の算術比較であり、バックテスト自体の検証ではありません。
表のCAGRはMAG7が34.4%、分散が12.2%で、約2.8倍(22.2ポイント差)です。3年間の累積リターン142.8%と41.3%の比率は約3.5倍であり、CAGRの比率とは異なります。
しかしSharpe Ratio(リスク1単位当たりのリターン)は0.97対0.55でMAG7が優位なものの、その差はリターン差に比べてはるかに小さい。分散ポートフォリオは半分程度のボラティリティで、半分近いSharpeを達成した計算になります。
隠れたリスク — 下落相場シナリオ
2024年8月初旬、円キャリートレードの巻き戻しで引き起こされた急落局面で、両ポートフォリオは対照的な動きを見せました。
- MAG7集中: 8月1日〜5日の3日間で−13.8%下落(特にTSLA −22%、NVDA −18%)
- 分散ポートフォリオ: 同期間で−5.2%下落(TLTが+2.1%上昇して緩衝材に)
−14%の下落とは、$10,000の元本が$8,600に減ることを意味します。この時点で「もっと下がりそうだから」と損切りした投資家は、その後10月までの反発を取り逃がしました。ポートフォリオのボラティリティが大きいと合理的な判断が難しくなる — この「行動バイアス」のリスクは、数値にはなかなか表れません。
どちらの戦略が「正しい」と言えるのか
結論から言えば、どちらも正しく、どちらも間違いになり得ます。重要なのは、自分の投資期間、許容できる損失幅、投資経験に合わせて選ぶことです。
MAG7集中が向いているケース
- 投資期間が10年以上あり、20〜30%の下落に耐えられる場合
- 個別企業のビジネスモデルを理解し、業績を追跡する意志がある場合
- 全資産の30%以下だけを配分し、「サテライトポートフォリオ」として運用する場合
分散ポートフォリオが向いているケース
- 投資期間が5〜10年、あるいは定期的にポートフォリオを点検する時間が取れない場合
- 退職資金・住宅資金など、失ってはいけない目的資金の場合
- 投資判断に感情のエネルギーを使いたくない場合(ETF 5本だけ管理)
全資産の70%を分散ポートフォリオ(コア)、30%を集中投資(サテライト)で構成する「コア・サテライト」戦略も検討に値します。サテライト部分で利益が出れば満足、損失が出ても全資産の30%への影響にとどまるため、心理的負担が軽くなります。
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※ 本記事に含まれるリターン・ボラティリティの数値はYahoo Financeの公開データによるシミュレーション結果であり、税金・取引手数料は反映されていません。過去の成績は将来のリターンを保証するものではなく、本コンテンツは投資勧誘ではありません。